この記事でわかること

- 創業融資はいくら借りられるのか、自己資金はいくら必要か
- 公庫と制度融資、どちらを選べばいいか
- 創業時に使える補助金と「特定創業支援等事業」の関係
- 補助金で買えるもの・買えないもの


先生、開業に向けて準備してるんですけど、お金のことが一番不安で…。
融資とか補助金とか、何から調べればいいんですか?

その不安、すごくよく分かります。
私は埼玉県とさいたま市の創業支援機関で開業アドバイザーをしていて、年間200件以上の創業相談を受けています。その中でも一番多いのが、まさに「融資」と「補助金」の質問なんです。

みんな同じところで悩んでるんですね!

そうなんです。今回は、特によく聞かれる質問を10個選んで答えていきますね。
創業融資のよくある質問
Q1. 創業融資はいくら借りられますか?
A. 今の感覚では、1,500万円くらいまでが現実的なラインです。
日本政策金融公庫の創業向けの融資(新規開業・スタートアップ支援資金)は、制度上の上限が7,200万円です。ただ、創業でいきなりこの金額を借りるのは、まず無理です。
実際にいくら借りられるかは、自己資金とのバランスで大きく変わります。
もう1つ知っておきたいのが、公庫の「支店決裁」と「本店決裁」です。
公庫の融資は、金額によって、支店の判断だけで決められるもの(支店決裁)と、本店の判断が必要になるもの(本店決裁)に分かれます。本店決裁になると、審査のハードルが上がり、時間もかかります。
私が「1,500万円くらいまでが現実的」とお伝えしているのは、このためです。
以前は「自己資金は借りたい額の3割くらいが目安」と言われていました。しかし、公庫の担当者に直接聞いたところ、最近は2割くらいからが目安とのことです。例えば1,000万円借りたいなら、200万円以上は用意しておきたいところです。
ただし、この目安は支店によって違うこともありますし、公庫の中の考え方も年々変わっています。あくまで「目安」として考えてください。
また、自己資金だけで金額が決まるわけではありません。ほかに見られるポイントは、Q5で解説します。
自己資金の考え方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
Q2. 自己資金ゼロでも借りられますか?
A. 申し込みはできますが、借りるのはかなり厳しいです。
以前は「自己資金が借入額の1割以上」という条件がありましたが、2024年になくなりました。今は、自己資金ゼロでも申し込み自体はできます。
ただし、「申し込める」と「借りられる」は全くの別物です。
審査では、開業に向けてコツコツお金を貯めてきた計画性がしっかり見られます。自己資金は、事業への本気度を示すものでもあります。まずは少しずつでも貯めるところから始めましょう。
Q3. そもそも融資は受けた方がいいですか?
A. 私は「受けた方がいい」派です。
理由は2つあります。
① 創業融資は、普通の融資より借りやすい
普通の融資は、過去の決算書をもとに審査されます。一方、創業融資は、まだ実績がない人向けに事業計画書で審査してくれる融資です。
事業を始めてから借りようとすると、今度は決算書で見られます。そのときに赤字だと、かえって借りにくくなってしまいます。
② 手元にお金がある安心感が大きい
開業してすぐは、思った通りに売上が立たないことも多いです。資金に余裕があれば、焦って値下げしたり、無理な判断をしたりせずに済みます。
申し込むなら、開業予定日の2〜3か月前が目安です。申し込みからお金が入るまで、1〜2か月ほどかかるためです。
Q4. 公庫と制度融資、どちらがいいですか?
A. どちらでも大丈夫ですが、私のおすすめは公庫です。
| 日本政策金融公庫 | 制度融資 | |
|---|---|---|
| 仕組み | 国の金融機関から直接借りる | 市や県・信用保証協会・銀行の3者が関わる |
| 手続き | 窓口が1つでシンプル | 関わる機関が多く、手続きも多い |
| メリット | スピード感がある | 銀行との付き合いを最初から作れる |
Q5. 審査ではどこを見られますか?
A. 大きく分けて「信用情報」「自己資金」「事業計画書」の3つです。
特に見落としがちなのが信用情報です。
- クレジットカードやローンの延滞
- 税金や公共料金の滞納
こうした記録は信用情報機関(CICなど)に残っていて、公庫も確認できます。どんなに良い計画書を書いても、ここに傷があると一気に不利になります。申し込む前に、自分の支払いに遅れがないか確認しておきましょう。
事業計画書でつまずくポイントは、こちらで詳しく解説しています。
創業時の補助金のよくある質問
Q6. 創業時に使える補助金はありますか?
A. まず覚えてほしいのは、次の2つです。
- 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉
- 特定創業支援等事業
それからもう1つ、意外と見落とされているのが自治体の補助金です。市区町村によっては、空き家を活用して開業する人向けの補助金や、独自の創業補助金を用意しているところがあります。
開業する場所の市区町村のホームページは、必ずチェックしてください。
Q7. 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉とは何ですか?
A. 新しいお客さんを増やす取り組みを応援してくれる補助金です。
チラシやホームページでの宣伝、お店の設備を整えることなどが対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 200万円前後(インボイス登録などの特例で上乗せされる場合あり) |
| 補助率 | かかった費用の一部(3分の2程度) |
※金額や補助率は、公募の回によって変わることがあります。
この補助金の最大の特徴は2つです。
- 開業1年目でも申請できる:補助金は実績がないと使えないものも多い中で、これは大きなメリットです。
- 補助の対象になる経費の範囲が広く、使いやすい:詳しくはQ9で解説します。
なお、持続化補助金には創業型のほかに「一般型(通常枠)」もあります。上限は創業型より低めですが、特例を使うと上乗せされる場合があります。開業から時間が経って創業型の対象から外れた人は、一般型を検討しましょう。
Q8. 特定創業支援等事業とは何ですか?
A. 市区町村の創業セミナーや相談を受けるともらえる「証明書」です。
1か月以上かけて、4回以上セミナーや相談を受けると、市区町村から証明書がもらえます。この証明書があると、次のようなメリットがあります。
- 持続化補助金〈創業型〉に申請できる
- 公庫の金利が下がる
- 信用保証協会の創業関連保証を、開業の6か月前から使える
- 会社を作るときの登録免許税が半額になる(株式会社なら15万円→7.5万円)
特に登録免許税の半額は、法人を設立する人にとても人気です。
補助金にも融資にも効く制度です。証明書をもらうまでに1か月以上かかるので、補助金の締切から逆算して、早めに動き出しましょう。
申請の手順やおすすめの支援機関は、こちらで詳しく解説しています。
Q9. 補助金で何が買えますか?
A. 販路開拓(新しいお客さんを増やすこと)のための経費が、幅広く対象になります。
代表的なものは、次のとおりです。
| 経費 | 例 |
|---|---|
| 広報費 | チラシ、看板、広告 |
| ウェブサイト関連費 | ホームページ、ネット広告 |
| 機械装置等費 | お客さんを増やすための設備(例:飲食店の厨房機器) |
| 展示会等出展費 | 展示会への出展費用 |
| 新商品開発費 | 試作品の開発費用 |
| 委託・外注費 | 専門家への外注費用 |
ここに挙げたのは、あくまで代表的な例です。対象になる経費の種類やルールは、公募の回ごとに見直されることがあります。申請するときは、その回の「公募要領」で必ず確認してください。
Q10. これって補助金の対象になりますか?
A. 「パソコン・iPhone・複合機」のような汎用品は、基本的に対象になりません。
これは本当によく聞かれます。パソコンやiPhone、複合機のような汎用品は、仕事以外にも使えてしまうため、補助の対象外です。
ほかにも、次の点に注意してください。
- ホームページ関連の費用は、ホームページだけでは申請できなかったり、使える金額に上限があったりと、細かいルールがあります。
- 補助金の交付が決まる前に注文・支払いしたものは対象外です。先に買ってしまうと、補助金は1円も出ません。
対象になるかどうかの判断は細かく、回によって変わることもあります。迷ったら、買う前に専門家や商工会議所・商工会に相談しましょう。
まとめ

今回のポイントを2つにまとめます。
①創業融資は借りやすいので、受けた方がいい。自己資金は2割以上が目安。
②補助金を狙うなら、まず特定創業支援等事業。自治体の補助金もチェック。

融資と補助金って、別々のものだと思ってました。特定創業でつながってるんですね!

そうなんです。特定創業は、融資にも補助金にも効きます。なので、開業を考え始めたら最初に動いておくのがおすすめです。

でも、自分の場合いくら借りられるのか、やっぱり不安です…。

公庫の創業融資は私の得意分野です。創業計画書の作成からしっかりサポートしますので、お気軽にご相談くださいね!
