この記事でわかること
- 起業後の税金の基本
- インボイス登録について
- 青色申告と白色申告を知ろう
- 開業後は会計ソフトを導入しよう!(最重要)
起業後・創業後の留意点
とりあえず、起業をしてみたけどその後は何をしたらいのでしょうか?
特に経理や税務について分からないので教えてください。
起業後において税務の最大のイベント言えば確定申告です。これは個人であっても法人であっても起業をしたら避けては通れない義務です。
確定申告書を作成するためには届け出ている内容によって準備が異なります。また、日々の経理が重要となります。
留意点を記載するので一緒に勉強していきましょう!!
税金の基本
事業を始めた場合、必ず税務申告が必要となります。
個人事業主か法人化によって申告すべき税目が異なります。
税務申告は事前準備が重要となります。先ずは税金を理解して正しい事前準備をしましょう。
所得税:
事業所得に対して課される国税です。事業所得が大きくなるほど納める税額も増えます。
青色申告と白色申告の選択が可能で、青色申告を選択する場合は事前の届出が必要となります。
不動産所得、給与所得など他の所得と合算して申告する必要があります。
申告期日:3月15日まで
消費税:
商品やサービスの販売額に対して課される国税です。
免税点制度を用いているのが特徴で、一定の売上高を超えると納税義務が生じます。
また昨今の税制改正で、インボイス登録した場合は売上高に関係なく納税義務が生じることになりました。
申告期日:3月31日まで(特例あり)
源泉所得税:
従業員に給料を支払う際、その給料からあらかじめ所得税の金額を差し引いて、残りの金額を従業員に渡します。
差し引かれた所得税が、源泉所得税です。
事業主からすると従業員から所得税を預かっているので、その所得税を国に納税する必要があります。
税理士などと契約しても源泉所得税が発生するケースがあります。
申告期限:7/10,1/20(納期の特例の適用を受ける場合)
住民税(普通徴収):
住民税には所得割(事業所得に基づいて計算)と均等割(所得に関わらず一律に課される)があり、地方自治体に納めます。
基本的には所得税の確定申告書を提出すると、その情報が市町村に引き継がれるので住民税の申告書を提出する必要はありません。
住民税は会社の給与から住民税を天引きしてもらう特別徴収と、自分で納税する普通徴収に種類が別れます。特別徴収は下記、「法人に関連するもの」をご覧ください。
申告期日:3月15日まで
個人事業税:
事業を行っている個人事業主に対して課される地方税です。事業所得が290万円を超えると納税義務が生じます。
ITエンジニアや芸術家など法定業種に該当しない場合は課税されません。(契約形態によって課税の可能性もある)
基本的には所得税の確定申告書を提出すると、その情報が市町村に引き継がれるので住民税の申告書を提出する必要はありません。
申告期日:3月15日まで
法人税:
法人の所得に対して課される国税です。
税率は、一般的に23.2%ですが、資本金1億円以下の法人や、所得が一定額以下の場合には軽減税率が適用される場合があります。
法人の場合は定款で事業年度を定める必要があります。4月1日~翌年3月31日を事業年度をする企業が多いです。
申告期日:事業年度終了日から2か月以内
消費税:
商品やサービスの販売額に対して課される国税です。
免税点制度を用いているのが特徴で、一定の売上高を超えると納税義務が生じます。
また昨今の税制改正で、インボイス登録した場合は売上高に関係なく納税義務が生じることになりました。
申告期日:事業年度終了日から2か月以内(特例あり)
源泉所得税:
従業員に給料を支払う際、その給料からあらかじめ所得税の金額を差し引いて、残りの金額を従業員に渡します。
差し引かれた所得税が、源泉所得税です。
事業主からすると従業員から所得税を預かっているので、その所得税を国に納税する必要があります。
税理士などと契約しても源泉所得税が発生するケースがあります。
申告期限:7/10,1/20(納期の特例の適用を受ける場合)
住民税(特別徴収):
会社などの事業主が、従業員の給与から住民税を天引きして、代わりに市区町村に納める制度のことです
個人と違って法人の場合は、役員への報酬も経費となるため役員報酬が発生するのは一般的です。
住民税の納付方法を特別徴収とした場合は、住民税の納付手続きが発生します。原則特別徴収ですが、一定の要件を満たすと普通徴収も選択できます。
申告期日:12/10、6/10(納期の特例の適用を受ける場合)
地方税:
法人住民税、法人事業税などがある。基本的に都道府県と市町村各々に申告する必要があります。
所得が赤字の場合は、法人税は課せられませんが、地方税については均等割りが課せられるため絶対に納税が必要となります。
申告期日:事業年度終了日から2か月以内
分かりやすさを重視したため特例や原則について細かく説明しておりません。ご不明点があればお気軽にお問い合わせください。
インボイス登録について
インボイス制度は、2023年10月から始まった新しい制度で、事業者が消費税を正しく納めるための仕組みです。
従来の消費税の計算方法から変わり、インボイス(適格請求書)と呼ばれる特別な請求書が必要になりました。
インボイス登録すると消費税の納税義務が発生する!
新たに起業や創業した人は基本的に2年間は消費税を納税する必要はありません。
消費税の納税義務は2年前の売上高が1,000万円超か否かで判断します。
令和6年の確定申告で消費税を納税するか否かは令和4年の売上高で判断するということです。
新たに起業や創業した人はその2年前の売上高は0円ですので、2年間は納税義務が免除されます。これを消費税の免税点制度と言います。
インボイス登録をすると、2年前の売上高がいくらであろうと、、、
登録した年から消費税を納税する義務が発生します!!
取引先からインボイス登録を要請される事がある
出来れば税金は払いたくないですから、消費税の納税義務が発生してしまうインボイス登録はしたくないですよね。
ですが、実際はインボイス登録をする人は少なくないです。理由は取引先との友好的な関係を保ちたいからです。
消費税には仕入税額控除という制度があり、ざっくり言ってしまうと、あなたがインボイス登録をしないと、あなたと取引をした得意先が納税すべき消費税が増えてしまうことになるのです。
得意先は仕入税額控除(納税する消費税を安くする制度)を受けるためにはあなたが発行したインボイスが必要となります。
そのため、インボイスをもらうためにインボイス登録を要請したり、インボイス未登録者とは取引しないというケースを想定しておくべきです。(これらは下請法などの禁止行為なんですけどね。)
業種により登録の方向性は大きく異なる
インボイス登録するか迷っている人!業種により方向性が大きく異なります。特に「B to B」のビジネス、建設業や製造業などは得意先が事業主でインボイスを求めている可能性が高いので、インボイス登録を前向きに検討するケースが多いです。
一方、「B to C」のビジネス、小売業や飲食業など得意先が一般消費者が多いようなビジネスはインボイス登録する必要性は低いです。
一般消費者は消費税の申告をするわけではないので、インボイスを求めている人が少ないからです。
事業規模を大きくしたい。販路を拡大したいなどある場合は業種にかかわらずインボイス登録を検討した方が良いでしょう。
青色申告と白色申告を知ろう
青色申告と白色申告の特徴
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
申請 | 青色申告承認申請書の提出必須 | なし |
帳簿 | 複式簿記が原則 | 収支計算書(簡単) |
控除額 | 最大65万円の特別控除 | なし |
赤字の繰越 | 3年間可能 | 原則なし |
固定資産の経費 | 30万円未満は一括計上可能 | 10万円以上は減価償却 |
専従者控除 | 青色事業専従者給与として全額経費化可能(届出必要) | 専従者控除として最大86万円まで(届出不要) |
青色申告のメリット
- 節税効果
青色申告特別控除や赤字の繰越など税金を押さえるための制度が充実 - 経費計上範囲が広い
青色専従者給与の上限の上限なし、少額減価償却資産の特例など経費の幅が広い - 業績の可視化
複式簿記により収支だけではなく、資金などの財産の管理が可能に
白色申告のメリット
- 簡単
帳簿が複式簿記ではなく収支計算書で済むため、簿記の知識が不要で手軽に始められる
青色申告と白色申告どちらが良いの!?
本業が他にあって副業で事業を行っている人、利益が少なく節税のメリットがほとんどない場合は白色申告で十分であると言えます。下手に青色申告を申請してしまうと帳簿作成の手間の割にはメリットが少ないという事態に陥りかねないです。
それ以外のケースでは基本青色申告を選択した方が良いかと思います。
会計ソフトの導入はかなりおススメ!
どうして会計ソフトは必要なの?
起業をすると確定申告が必須になります。確定申告書が最終的な成果物とすると、その成果物を作成するためにはその年度の売上、経費などを正確に計算する必要があります。
また青色申告では複式簿記による帳簿の備え付けが求められます。
日々の管理、帳簿の作成、確定申告書の作成・提出までサポートしてくれるのが会計ソフトなのです。
上記記載は個人事業主を前提とした記載です。法人の場合は確定信申告書の作成・提出まで会計ソフトで完結させるのはほぼ無理です。
会計帳簿は税務調査の際に必要となる超重要書類
確定申告書の記載内容の正当性を確認するための税務調査。確定申告書作成のもととなる会計帳簿は、正当性を判断するために超重要な書類となります。会計ソフトを使用すると税務調査に耐えられる項目が記載された会計帳簿が出来上がります。
税務調査の際には請求書や領収書などの証憑書類も併せて大事になりますが、写真撮影等すると証憑から自動的に仕訳が生成され、写真等の証憑も会計ソフトに保存してくれるソフトもあるので、証憑を紛失してしまった場合のリスクヘッジになります。
日々の帳簿付けから確定申告まで可能(個人事業主)
会計ソフトを導入すると日々の帳簿付けから確定申告までの手続きがワンストップで可能となります。確定申告は電子申告なので、確定申告時期の混雑している税務署に行かなくて済むというメリットもあります。開業後のめんどくさい会計や税務が会計ソフトを導入するだけほぼ解決できてしまいます。所得税はもちろん、インボイス登録した場合の消費税もカバーできてしまいます。
なおこの話は、個人事業主に限ってです。法人の場合は申告のために別のソフトが必要のケースが多いです。法人の申告は税理士に依頼することをお勧めします。
税理士に依頼しなくても大丈夫!(個人事業主)
税理士に依頼したほうがいいですか?という質問をよく受けます。結論を書くと、個人事業主は依頼不要です。(先述の通り法人は依頼をお勧めします)
理由は会計ソフトが優秀すぎて一定レベル以上の申告書が出来上がるからです。
ポイントは各種連携機能、銀行口座連携、クレジットカード連携、請求書連携など各種サービスと会計ソフトが連携しており、取引が自動的に会計ソフトに取り込まれます。しかも勘定科目もそれっぽいのをAIが自動的に選んでくれて、修正等すればAIが学習をして次回以降の制度が向上します。
これらの連携機能を使用する場合のポイントは、事業用の口座、クレジットカードを作成すること。プライベートと併用だと自動連係した際にプライベートの項目を削除しないといけないため手間です。
おススメの会計ソフト
弥生会計、マネーフォワード、Freeeあたりを選んでおけば間違いないと思います。
白白申告であれば弥生の白色申告オンラインは基本無料(R6.9時点)で使用できるので特におススメです。
ちなみに弊所では、弥生とマネーフォワードに対応しております!
まとめ
インボイスや青色申告など制度についても触れさせていただきましたが、起業・開業後は会計ソフトの導入を検討しましょう!特に個人事業主の場合は強くお勧めします。
併せて、事業用の口座と、事業用のクレジットカードを作成しましょう!
これにより、事業実態と会計が効率的に連動しますので、その後の会計処理や確定申告が劇的に楽になると思います。
起業後の会計、税務について記載しましたが理解の手助けになりましたか?
ありがとうございます。
個人事業主は税理士に依頼しなくても大丈夫ってことがわかりました!!
お、おう。
得意分野が理系や文系に分かれるように、会計・税務も得手不得手が分かれます。苦手だと感じた人は個人事業主でも税理士に依頼するのは全然アリです。苦手なことは誰かにお願いして、得意な事業について深堀したほうが効率的なところもありますしね。
当事務所は、創業・開業をメインに扱っている事務所です。
記事の内容を含めて不明点があれば問い合わせページよりお問い合わせ頂けると幸いです。